オフローディングのリーサルウェポン!「FINAL LSD SP リア用」〜オフロードサービスタニグチ

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今や、ジムニー駆動力アップの定番カスタムパーツとも呼べるオフロードサービスタニグチ製「FINAL LSD」。
「オンロードモデル」そして定評のある「オフロードモデル」に加えこのFINAL(ファイナル)LSDシリーズに「FINAL LSD SP」がラインナップした。
オフロードモデルのトラクション性能を凌駕する“SP”の実力を検証すべく、オフロードコースへ向った

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直進安定性の向上がもたらす、さらなる安心感
オフロードサービスタニグチがリリースする「FINAL LSD」は、直進安定性の向上とドライバーの技量でLSDの効きをコントロールしたいというテクニカルな上級者へ向けた「オンロード」モデルと、強力なトラクションによるオフロード性能と直進安定性向上をはかるマルチなLSD「オフロード」モデルがラインナップされている。

特に「オフロード」モデルは、ジムニーLSDチューンの定番とも呼べる製品。オフロードからオンロードまで走行性能を高めてくれるのに、十分なポテンシャルを持っているのだが、この「オフロード」モデルを凌駕するよりハードなスペックを与えられたLSDが、ここでご紹介する「FINAL LSD SP」だ。

「ジムニーJB64に搭載されたブレーキLSDでも、十分なオフロード性能を発揮してくれますが、対角線上でスタックしタイヤが完全に空転してしまうと、効くまでにタイムラグが生じることもあるんです」と語るオフロードサービスタニグチの谷口氏。新型ジムニーのウィークポイントとともなり得る現象を、克服することもテーマに掲げ誕生した。

まずはオンロード。

強力なトラクション性能が与えられた「FINAL LSD SP」を搭載するデモカーは、一回り大きなタイヤ(185/85R16)を装着するものの、上り勾配が続く山道をグイグイと上って行く。連続するコーナーも安定した走りを披露してくれた。

一時停止した交差点を右左折(0km/hからの発進)する場合、時にはリアタイヤの横滑りを若干感じることがあったものの、これも強烈なトラクション性能が与えられたがゆえ。念頭にさえ入れておけば、十分に許容されるものであろう。むしろ、これだけのトラクション性能を有しながらも、車内に届くチャタリング音は、これまでの「オフロード」タイプと同等レベル。つまり、気にならないレベルなのだ。

取材当日は穏やかな天候であったため、トンネル時の突風や高速走行時の強風に煽られるというようなシーンに遭わなかったが、そんな悪天候時こそ、直進安定性が安心をもたらしてくれるであろうことを、容易に想像させてくれる走りだった。

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強烈なトラクションが可能にした、圧倒的なオフロード走破性
テスト車両となったタニグチデモカーのベース車両は、30年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたジムニーJB64

写真のようなモーグル地形で、直進すると対角線上のタイヤが地面から完全に離れてしまうような場面。通常ならココで前進不可能となるのだが、「ブレーキLSDトラクションコントロール」が機能。空転輪に断続的にブレーキがかかり接地輪に駆動力が配分され、前進できるという仕組みなのだが、タイムリーに作動させるには電子制御を使いこなすスキルも必要となる。

そんな状況下で、駆動力を効かせたいときに効いてくれるのが、「トルク感応タイプ」のLSDと「回転感応タイプ」LSDを融合した「FINAL LSD SP」だ。

「トルク感応型」LSDは、左右輪のトルク差を利用して作動する特性を持つ。つまり、左右輪にトルク差が生じると、LSDに内蔵されたカムが作動しLSDとしての効きが発生するというもの。トルク差を利用しているため、予備動作(車輪が空転してから)がなく、反応が速いのが特徴だ。しかし、デメリットも存在する。それは、トルク差が100%(完全にタイヤが浮いた場合)になってしまうと作動できないというもの。

一方、回転感応型LSDは、タイヤが空転してからLSDとしての効きが発生。そのため、回転感応型LSDは反応が遅くなるという欠点があった。

これまでのLSDは、それぞれに一長一短があったのだが、両者のメリットだけの採用を試み、実現したのがこの「FINAL LSD SP」だ。つまり、通常は「トルク感応型」として作動し、万一片輪が完全に浮いてしまった場合は、「回転感応型」LSDとして機能するという理想的な可変トルク機能を手に入れることが出来た。

ゆえに、駆動力が欲しいときに、LSDを作動させることが出来るのだ。もちろん、作動させるための特別なテクニックは不要。安全なラインを選択し、落ち着いて車両を操ることだけに集中することが可能になる。

新型ジムニーとの相性も良い新開発の「FINAL LSD SP」。同社がリリースした2タイプのLSD同様、ユーザーのお好み通りに設定してくれる「SPEC-X」チューンのオーダーも可能。さらなる悪路走破性を求めるリアルオフローダーたちへオススメしたい逸品だ。

提供:4x4MAGAZINE(文章:水島 仁/写真:佐久間 清人)

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純正のブレーキLSDトラクションコントロールのみ(=ファイナルLSD非装着車:写真左)だと、作動までにタイムラグが発生するだけでなく、このように浮いたタイヤが激しく空転してしまうことも

一方、「ファイナルLSD SP」を装着したジムニー(写真右)は、後輪の片側が空転しても、瞬時にLSDの効きが発生し難なくクリアした。

両者の違いをより解りやすくお伝えするため、ファイナルLSD装着車両では二輪駆動にて、非装着車両は4Lo状態にてテストを行なった。

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「ファイナルLSD SP」は、ファイナルLSDオフロードモデル(従来モデル)をはるかに上回るトラクション性能を持つゆえ、さらに直進安定性が増した。

トンネルを出たときの突風をはじめ、高速走行時での大型車両の通過などでも、安定した走りを提供してくれる。

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LSDの効果で、効率よく路面にトラクションがかかり、コーナーでのふらつきが収まりやすく、操りやすくなった。また、「オフロードタイプ」に対し効きは格段にアップしながらも、チャタリング音は同等もしくはそれ以下に抑えられた設計となっている。

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写真左が、「ファイナルLSDオフロードモデル」。そして写真右が、新たにラインナップされた「ファイナルLSD SP」。

オフロードモデルはサイドギアが平行であるのに対し、「ファイナルLSD SP」ではスパイラル形状を採用。車輪が浮いて急激な空転が起こった場合でも、このスパイラル形状により、フリクションプレートが押し付けられ「擬似的なイニシャルトルク=空転時に発生するトルク」を発生。この「擬似的なイニシャルトルク」がきっかけとなってカムを作動させ、LSDとしての効きを発生させている。

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テスト車両は、2インチアップサスペンション(試作品)を装着したオフロードサービスタニグチのデモカー。

同社では、今回のLSDをはじめ、ガード類やサスペンション関連パーツなど新型ジムニー用パーツがリリースされ始めているが、本番はこれから。

開発中のパーツたちが、続々と市販化される日が待ち遠しい

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FINAL LSD SP リア用

適応車種:ジムニーJB6474/JB233343/JB3132/JA111222

定価:¥158,000(税別)

強力なトラクションを発揮しながらも、LSD特有のチャタリング音は「従来品と同等、もしくはそれ以下に収まるよう開発致しました」と語る通り、多少の音が聞こえてくることはあるものの、気になるようなレベルではない。

JB64との相性は良く、モーグル走行時に空転が起こっても、タイムラグを感じることなくLSDの効きが発生し、難所をクリアした。

強力な効きと静粛性。この相反する特性を高次元で両立させたタニグチ渾身の逸品だ。

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オフロードサービスタニグチ

谷口 武

新開発したLSDを新型ジムニーに搭載し、非装着車との比較を行ないましたが、このファイナルLSD SP リア用」は、JB64の他JB23JA11まで、幅広く対応しています。

また、ファイナルLSDには、ハードなオフロード走行を想定して開発したこの「SP」モデルの他に、すでにリリースしている「オフロードモデル」や「オンロードモデル」、そしてファイナルLSDを自分仕様に設定が可能となる「SPEC-X」チューンをラインナップ。お客様のお好みに叶ったファイナルLSDで、ジムニーライフを楽しんでください。